mercibeaucoup

30代。。仕事と家庭を両立したい。夫が大好き。

先輩の存在

多くの専門職の方々、管理栄養士の先輩の前で、当施設の栄養管理についてという発表を終えた。

30分の中に、
①食事紹介
②施設利用と栄養士業務
③事例紹介
④まとめ
の流れを詰めた。


事例に、看取りケアのケースを紹介した。
入所時から状態が悪く、医師から「いつどうなってもおかしくない」と言われていた、
しかし施設でのケアの結果、栄養・ADL共に改善しレクリエーションやイベント、食事を楽しむことができた、
その後体調悪化により、施設での看取りケアで旅立たれた、
大好きな利用者のこと。


発表のあと、先輩方から多くのお褒めの言葉をいただいた。

中でも嬉しかったのは、私が入職した時に、付きっきりで指導して下さった先輩から、
「内容や取り組みを見て、厨房での人付き合いも施設での人付き合いも上手にやれていることが伝わった。
どちらも上手くやるのは難しい中で、凄いと思うよ!」という言葉だった。

私は先輩のようになりたいと思って、ここまでやってきた。
困った時には、先輩ならどう応対するだろうか、
と、常に考えて行動してきた。
「ありがとうございます、始めの時から変わらず、先輩のように、なりたいと思ってやってます!」と
返すことができた。

自分のやってきたことで成功したのは、先輩のおかげだといつも思う。


今回初めて、感謝の言葉とともに、具体的に見える形で先輩にお返しが出来た。
これからも先輩の姿を浮かべながら進むことで、まだまだ道が広がっていく気がする。

毎日が進行形

毎日が忙しかった。

けれど、忙しい時には、いつも新しい発見がある。
今回も、知らないことに触れることができた。
例えば、加算関係のこと。

非常にざっくり、ザクザク書くと(申し訳ありません)
介護の施設は、国から介護業務に対する方針が出され、
その方向に沿った取り組みを行うことで評価を得て加算をいただく。
言い換えれば、国の方針に沿わなければ、評価をいただけない。

◯◯加算、◯単位。
そんな言葉・単語でしか知らず、
お金が貰えるのなら、加算とらなきゃ!
という感覚しかなかったけれど、
加算をいただける意味、加算をいただける体制を整える意味を見たり聞いたり学んだりした。

ほうほう、これらの役割を持って動かなきゃダメなんだな、とズシッと感じた。

そして
良くも悪くも、利用者や私達が置かれている今の社会、現状、その波に、利用者も私達も、乗っている。
時代が変われば、また変わるかも?

この仕事は、常に現在進行形だ。
だから面白い。
f:id:fuumica:20160619203938j:image



長生きの秘訣

98歳のおばあちゃん。
自宅で、ヘルパーを使いながら、独居生活を送っていた。
一人息子は、東京。ここからは遠く離れた場所。
しかも、海外を飛び回るビジネスマンだ。

そんなおばあちゃん、ある日、
庭で転倒。骨折して入院。
独歩だったが車椅子生活となった。
退院と同時にリハビリ目的でうちに入所。

高齢なのに認知症もなく、物忘れもほとんどなし。
消化器疾患もなく、常食を全量摂取。
リハビリも順調に進み、車椅子から歩行器にレベルアップした。

本人は、元気になるにつれ
「早く家に帰って、畑がしたい。
もう夏が来る、トマトを植えたい」
と、早く家に帰りたいと強く望んでいた。

そして、退所が決定した。
さて、どこへ?
独居?それとも息子さんの近く?

息子さんは、
「母親は幸いにも、まだシッカリしているから、慣れ親しんだ土地で、過ごしてほしい」と希望。


98歳のおばあちゃんは、歩行器歩行で1人での生活を再開した。


退所後は、今まで通り、ヘルパーサービスを利用。
そして新しく、うちの通所も利用を開始した。

利用の初日、
「おはようございます」と、
歩行器で通う姿は、立派なものだった。
入所中に比べると表情が、キリッとした。


なぜか?
施設では、全て任せていたら、何とでも生活できる。
しかし、1人での生活は、頭を使い考えて生きる。行動範囲が広がる。
頭と身体を、フルに動かすことで、こんなにも表情や雰囲気は変わるのだ。


さらに、おばあちゃんは、
「あと20年は生きたい。
なんでかって?
そりゃ、これからの日本が、
どうなるか見たいからな」
と笑った。

入所中から、畑のこと等、これから先の生活に夢や希望を持っていた。

その上、この言葉。

長生きの秘訣。
それは、未来への希望や夢を持って、過ごすことなのかもしれないと思う。

願いを込めて、にゅうめんを

自宅で娘さんと生活していた、おばあちゃん。
昨年の7月から食欲が落ち、誤嚥性肺炎の診断で入院。
退院と同時に、うちの施設に入所した。


入所当初は、食欲低下が続いていたから、
食べてもらえるものを探すのに、色々苦労したなあ。

誤嚥性肺炎の入院だったけど、
嚥下障害は軽かったから、
食事形態は一口大、水分は薄めとろみ添加で可。
疾患による食事制限指示も特別になかったから色々試した。

ご家族からの聞き取り、相談したり、
本人の食事状況を見て、
アイスクリーム、シャーベット、お茶ゼリー、冷たいお茶、緑茶、、などなど。

最終的にヒットしたのが、にゅうめん。

普段は、
お盆の上のご飯やおかずを、少しずつ摘むように食べるだけ、
声をかけないと食べ始めなかった程、
食事に対する積極性はなかったのに、

にゅうめんを出した時は、
「わあ、にゅうめん大好き!」と言って、1番に自分で食べ始めた。
その時のことを、私はシッカリと覚えてる。

以降、食欲は少しずつ回復し、
「おいしかったよ」と毎食ペロリと全量食べられていた。


先週までは。


最近また食欲が落ちている。
車椅子の自操速度も遅くなった。
左側に体が傾く。
傾眠傾向だ。
発語が少ない。
表情の変化が少なく、笑顔が減った。


明らにレベルダウンしてきている。


今朝、病棟の課長さんと話し合った。
昨年と同じ状態になってきているのでは、と同じ見解だった。

だから、願いを込めて、
にゅうめんを。

今日のお昼から再開した。


高齢者は夏に弱い。
気温や湿度の変化には、本人よりも敏感に身体が反応する。
自覚症状のない、高齢者にいち早く気付き、
早期対応を取る。

あとは結果を待つ。
寄り添い、見守る。
忘れたくないな、寄り添うこと。




断る理由?

他施設から
老健の栄養管理というテーマで、発表をしてほしいのですが」と
電話をいただいた。

正直、最初は断わろうかと思った。
断る理由を考えた。
自分の栄養管理にはまだまだ自信がないし、
大勢の先輩の前で、怖いから。

そこで、ふと頭に浮かんだ言葉は、
「断わる理由、ないですよね?」
という尊敬する男性職員の言葉だった。
この言葉を使うときの彼は、
どう見ても難しい案件だと分かっていながら、でも施設運営のために、利用者のために、必要な案件を提案する時に使う。

さっき自分に浮かんだ断る理由。
遡れば、個人的な感情だ。
仕事をすることに、持ち込むべきではない。
せっかく、施設の栄養管理を外部に伝えるチャンスだ。
施設の宣伝になる、今後の仕事で活きるかもしれない。
断る理由?なくなった。

私は、7月に、臨床栄養管理のプロフェッショナルの前で、
老健の栄養管理について、
お話させていただく。

内容については、かれこれずっと悩み、今日やっと筋道が立った。


臨床的な栄養管理については、まだまだ劣っている。
だけど、これは負けないよ、っていうもの。
それは食事内容と対応の柔軟性。
食べてもらうために、の努力。
そこに重点をおこうと決めた。

ミキサー食の担当者へ

脳梗塞の後遺症(麻痺等)で食べることに障害のある利用者には、
出来上がった料理を、
食べやすく、安全に食べられる形に加工してお出しする。

例えば、ミキサー食。
おかずをミキサーにかけて、トロミ剤でトロミを付けて作る。

一見簡単そうに思えるけど、奥が深い。
ただ単に、ミックスジュース感覚で作るのではない。

ミキサー食を作る上で、
最重要であるトロミ剤。
このトロミの加減が、難しい。
トロミ剤を入れすぎると、料理がベタついて利用者には食べにくい。
逆に入れたトロミ剤が少ないと、トロミが薄く、ムセてしまう。
(説明が下手で申し訳ないです、片栗粉のあんかけのとろみを想像していただくと分かりやすいかも)


じゃあ、レシピを作って、
統一してしまえばいいじゃないかと思うのだが、
加えるトロミ剤の分量は、全てのメニューで一律にはいかない。

使う材料、野菜に含まれる水分量、その料理に含まれる水分量、その時の調理の仕上がりによって、違うからだ。

トロミ剤は、水分量や調味料の分量(塩分濃度、甘みなど)によって、影響を受ける。
料理本のように、レシピは簡単に作れない。


だから、今、施設の厨房でミキサー食を安全に調理・加工できるスタッフは、熟練者だ。

利用者の命と安全は、このスタッフによって支えられ、守られている。
だから私は、感謝と労いは忘れない。
いつもありがとうございます。

うちのスタッフは、ただルーチンをこなすだけでなく、
ミキサー食調理の中に、自らの楽しみも見つけ、毎回彩りよく綺麗に仕上げてくれる素晴らしい仲間だ。

そして、うちの施設の食事の基盤を、共に作ってきた。
この熟練の技を、後々にまで受け継いでいかねばならないと思う。




悩んだときは

仕事をする中で、つまずくことが多々あったし、
これからもあるだろう。

悩みや苦労、辛いことは、どの仕事でもあることだし、同じだ。

けれどそれでもやってこれたのは、
自身以外の、誰かがくれる意見だったり、指摘・指導、励ましがあったからだ。

そんな周りがあってこそ、私はここにいる。

だから、悩んでいる人は、
まず職場で、話せる相手を作って下さい。


学生には、与えられた教科書、教室、学友があります。

しかし、社会人となってしまえば、
自分から求めなければ、何もありません。

求めなければそのままです。